紅の豚次郎「真砂女」の俳句旅

俳人鈴木真砂女の「銀座に生きる」をたずねて

海の向こうにハワイが見える(3)

 同室となった新入社員は、二人。私と同じ中央大学のS君と、S大学のS君だ。学部はそれぞれ違うけれど、なんだか心強く感じたものだ。

 そして翌日、初出勤日。松林の中にある寮を出て、ホテルへ向かう。

 ホテルは、海のそばに建っている。従業員の出入り口は、裏口だ。朝日が室内を照らす部屋には、すでにシーツやタオルを抱えたおばさん達が忙しそうに働いている。

 その向こうには、キラキラと輝く海が見える。爽やかな青い空と海が人越しに映し出され身体に力が漲る。奥へと進むと、片付けの始まっている調理場を過ぎ、事務室につながる。事務室に入るとすぐ、総務課の机があり丁寧で爽やかな声で事務のIさんが挨拶してくれ、少しばかり緊張がほぐれる。